武田邦彦 (中部大学): 緊急の論理  40℃で生き残る方法

まず守るべきは自分の体というのはその通り。全く異論は無い。
その一方で温暖化やヒートアイランドを防ぐ対策を進めようというのは、相反する話ではない。
確かによく言われる、冷房設定温度を28℃にしましょう(「クーラーを止めよう」とは誰も言っていない)というのは対策としては不十分である。建物緑化等の、快適な環境を維持しつつ使用エネルギーを減らすためにはどうすれば良いかという対策を進めるのが本来の姿だ。
そのような本質的な対策は、体を守るための冷房使用をしつつ、同時に進めていくべきものである。

特に後半の二酸化炭素を減らすために何もできないという項については、大きな疑問を感じる。これは、「自分が1票入れても政治は変わらない」という選挙権放棄の正当化と同じにしか見えない。削減は、各国がそれぞれに取り組むことで初めて実現されるのである。
アメリカ、中国は分かるとしても、ヨーロッパが削減しないと何ともならないというのはどう考えてもおかしな話だ。ロシアを除けばヨーロッパ各国の排出量は日本より少ない。それこそ自分たちが削減しても何も変わらないという理論が成り立ってしまうのではないだろうか。